高付加価値とボリュームゾーンの獲得

今後の電子部品産業をみるとき、ボリュームゾーンの一つに挙げられるのが自動車向けの市場です。自動車は今や電装品の隗となっているといっても過言ではありません。現在の車と1960年代の車、すなわち半世紀ほど前の車を比較すれば、それは一目瞭然です。
車は50年前もアクセルを踏んで進み、ブレーキを踏んで止め、ハンドルで進む方向をコントロールしていました。タイヤが地面に接し、エンジンが回るエネルギーを伝えて、動きます。この基本的な構造のうえに現在の車は様々な電子部品による制御が行われています。ドライバがブレーキを踏んだ信号と、路面状況からフィードバックされる情報をもとに、最も適切なブレーキのかけ方を判断するのはマイコンを実装した車です。低燃費化を実現するためにエンジンを細かく制御しているのも電子部品です。
さらに自動車関連部品は、車の運転性能や安全性が即座に人命に影響することから、品質が非常に重視されます。このことは高品質な電子部品を作るのが得意な日本の企業の特性と非常に合致するのです。さらに車は比較的価格が安定した商品であり、さらに中長期のスケジュールに載って生産される商品でもあります。したがって消費の波も読みやすく、部品メーカーにとっては効率的な設備投資の時期も読みやすいということになるでしょう。
工業化製品はどのような商品でもいずれは陳腐化するという宿命を背負っています。現在は日本の企業の得意領域であっても、いずれは新興国のメーカーも追いついてくるでしょう。できるだけ多くの先行者利益を得たうえで、次なるボリュームゾーンを探し続けるというのはメーカーのいわば宿命です。
電子機器、電子部品のメーカーにおいてもそのことにかわりはありません。これからも世界を舞台に、世界の企業との熾烈な競争は続いていくでしょう。経済のダイナミズムは世界中を駆け巡り、新たな需要を作り出していきます。日本は人口減少期に突入しましたが、世界的には、新興国やアメリカなどを含む先進国でも人口を増やしているところの方が多いのです。
そこには必ず消費が生まれます。そして経済が発展するにつれて高付加価値なものが求められるのです。日本の電子機器・電子部品の各メーカーもそこに商機を見いだしていくでしょう。
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